「交通事故」は子どもたちに対する人権侵害の最も身近なものです。
「事故」と言いますが、実際は運転手による交通犯罪が多くを占めています。
「交通事故」にあった子どもたちは、犯罪被害者なのです。
中でも信号のない横断歩道において車が停止しない違反は、子どもたちの人権がないがしろにされているとても身近な例でしょう。
はじめに 子どもたちが元気に暮らせる社会にしたいという点では多くの人が一致している
私たちの周りでは、常に子どもたちの命が脅かされ、そして毎日子どもたちの命や身体の自由が交通犯罪によって奪われるニュースが伝えられています。
子どもたちが暮らしやすい社会を作る作業はなかなかうまく進みませんが、自分の子どもや隣近所の子どもたちが元気に暮らせる社会にしたいという点では誰でも思いが一致していると思います。
この一致点を確認しながら、日本国の主権者の私たちは努力してまいりましょう。
道路交通法第38条 〜信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら、車は停止しなければならない〜
道路交通法第38条により、信号のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしていたら、車は停止しなければならないと定められています。仮に法律がなかったとしても、交通事故防止のためには弱者を優先させる必要があります。
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
実態は、横断歩道で車が歩行を妨害する違反が横行している
ところが、ほとんどの車は横断歩道を歩行者が渡ろうとしていても停止せずに通過します。歩行者が法律に則り渡ろうとすれば、クラクションを鳴らされたりします。
JAFの「歩行者優先についての自動車運転実態調査」
この違法の横行については、最近はJAFも少し問題意識を持ったようで、先日JAFによる実態調査が行われました。
参考リンク
交通事故総合分析センター発行『イタルダ インフォメーション No.100』
「公益財団法人 交通事故総合分析センター」発行の『イタルダ インフォメーション No.100』に、特集記事「確認しよう横断歩道 『横断歩行者妨害違反』による自己分析」が掲載されています。
「横断歩行者妨害違反」について詳しく書かれており、大変参考になります。
参考リンク
横断歩行者等妨害等違反を扱ったニュース番組のコーナー
信号機がない横断歩道で「一時停止」なぜ少ない?香川は全国平均の約半分…取り締まり強化| KSB瀬戸内海放送
この歩行妨害が無くならないと子どもたちが元気に暮らせるようにならない
この歩行者が渡ろうとしている「信号機のない横断歩道」で車が止まらないという違法が行われている限り、子どもたちの人権が尊重される平和な社会は実現しません。
朝、元気に登校していった小学一年生が、交通犯罪の犠牲となり命を奪われていきます。
命を奪っているのは、車優先社会を作ってきた私たち大人です。
違法を行っている車の運転手の人も、根っからの悪人というわけでなく、交通事故=人権問題という視点を教わる機会がなかったものと思われます。
私たちは、子どもの頃から繰り返し、「歩行者より車が優先」「歩行者は車の邪魔をしないように」「信号がない横断歩道では車が優先」と教えこまれています。
法律に照らしても正しくない、子どもたちの命より車の利便性と経済性を優先する思想を教え込まれて育ってきています。
その結果、日本社会の大半の人が「歩行者より車が優先であたりまえ」という意識になってしまうことになります。
この結果、子どもたちが命や身体の自由を奪われていくことになります。
そこで、当事務所では「道路交通法第38条」を形骸化させないキャンペーンを勝手に展開しています。
主権者である私たちの努力で、人権が尊重され、子どもたちの命が尊重される社会を実現してまいりましょう。
車優先社会の問題に取り組んでいる様々な団体の一例
ごく一部で、車優先社会の弊害に気付き、命が尊重される社会を取り戻す取り組みをしている人々もいます。
スローライフ交通教育の会
子どもの命より車の利便性が優先、という思想が浸透してしまっている社会を変えるには、子どもたちへの教育の段階から取り組む必要があります。
札幌にある「スローライフ交通教育の会」は、車優先社会の本質を捉え、学校に訪れて講話を行うなど、交通教育の実践等に取り組んでいます。
参考リンク
北海道交通事故被害者の会
北海道交通事故被害者の会は、交通犯罪や事故が軽く扱われる不条理を正し、命の尊厳が護られる社会、交通犯罪被害のない社会をめざし、活発に活動をしている会です。
会報はPDFで公開されており、高校などで行われた講話の報告など貴重な資料が多いです。
学校の先生たちにとっても交通教育等を行う上でとても重要な資料になるでしょう。
参考リンク
クルマ社会を問い直す会
人の命より経済性を優先する車社会の本質に気付き、異議を唱え、クルマ優先でなく人優先の社会を作るべく活動する市民団体に、「クルマ社会を問い直す会」があります。
クルマ社会を問い直す会への入会は簡単です。
会のウェブサイトで規約を読み、賛同できればウェブサイト上の入会申し込みフォームから入会申し込みができます。
もし、自分の家の子どもや隣近所の子どもたちが、突然交通犯罪被害で命を奪われるという社会は我慢がならない、変えねば、とお思いの方はぜひ入会されることをおすすめ致します。
参考リンク
分離信号の普及の取り組みなど
交差点を歩車分離信号にすることで、子どもたちの交通被害を格段に減らせるということで、分離信号の普及を進める取り組みも盛んです。
分離信号に関する本もあります。
その他、クルマ社会の本質に気付いた人々が多くいる
その他、クルマ社会の本質に気付いた人々が多くいます。
また、交通犯罪被害者遺族の方々の講話を聞いた中高生などの中から、クルマ社会の本質に気付く生徒たちが次々にうまれています。
そういった若いみなさんもいることは私たち大人としては大変希望になります。
絶望することなく、主権者の私たちは今日も努力してまいりましょう。
参考リンク
以上、当事務所が勝手に展開している「『道路交通法第38条』を形骸化させないキャンペーン」をご紹介しました。
参考記事
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