Adobe® Photoshop®よりは簡単な操作で写真の現像、レタッチ、演出などができる写真の現像・編集ソフトにSkylum Luminar Neoがあります。
ここではLuminarNeoを使って、基本的なフォトレタッチの流れに沿いながらポートレートなどの人物写真のレタッチを行う手順の一例をご紹介します。
Luminar Neo
- Luminarは簡単さが特徴だが、写真のレタッチの基本的なことを知っておくのも役立つ
- Luminar Neoを使う準備
- 現像とレタッチの区別
- Luminar Neoで人物写真を現像・レタッチ、演出する手順の一例
- 手順1 写真のデータを読み込む
- 手順2 編集作業に入る
- 手順3 RAWデータを使用する場合、プロファイルを適用する
- 手順4 大幅なトリミングが必要なら先に行う
- 手順5 写真全体の明るさの調整
- 手順6 コントラストの調整
- 手順7 レンズ補正
- 手順8 ホワイトバランスの調整
- 手順9 写真全体の彩度の調整
- 「シャープネス」を一旦飛ばす
- 手順10 ノイズ削減
- 次へ進むと「現像」の調整内容は「編集」へ保存される
- 手順11 Luminar Neoの「補正」という機能
- 手順12 「消去」で不要物の消去など
- 手順13 「縁取り」
- 手順14 「カラーバランス」で写真全体の色調補正
- 手順15 「カラー」の「HSL」で色合い別の色補正
- 手順16 「カラー」の「HSL」で色合い別の明るさの補正
- 手順17 「カラー」の「HSL」で色合い別の彩度の補正
- 「詳細」は今回は飛ばす
- 「ノイズ軽減」
- 手順18 ビネット
- 手順19 「リライト」で逆光の修正、前景と背景それぞれに明るさの調整、演出
- 「スカイ」で空の調整、演出
- 「アトモスフィア」で霧や霞を追加して演出
- 「太陽光線」で演出
- 「ドラマチック」で「銀残し」(ブリーチバイバス)風の演出
- 「ムード」で写真全体を演出
- 「階調」でハイライト、シャドウそれぞれに色補正したり、特殊効果をかけたりできる
- 「マット」で被写体を平坦な色合いにする演出など
- 「神秘」でソフトフォーカス風の演出など
- 「光沢」でソフトフォーカス、オートン効果などの演出
- 「フィルム粒子」でフィルム写真風の雰囲気を演出
- 手順20 「ポートレートボケ」で背景をぼかす
- 手順21 「フェイス」で顔の明るさと形の操作
- 手順22 「フェイス」-「目」で目のレタッチ、演出
- 手順23 「フェイス」-「口」で口のレタッチ、演出
- 手順24 「スキン」で肌の処理
- 手順25 「ボディ」
- 手順26 「ハイキー」でハイキーな写真に演出
- 手順27 「スーパーコントラスト」でシャドウ、ハイライト、中間調それぞれにコントラストの調整
- 「カラーハーモニー」で色の操作
- 「カラーコントラスト」
- 「スプリットカラー温度」
- とりあえず現像、レタッチ作業の完了
- 画像データの書き出し
- シャープネス処理
- 写真の利用
Luminarは簡単さが特徴だが、写真のレタッチの基本的なことを知っておくのも役立つ
Luminar Neoでは簡単に短時間で写真の見栄えをよくできます。
もともとある程度うまく撮影されている写真なら、各機能のスライダーを動かすだけで派手で見栄えのする演出ができます。
しかし、そこまでうまく撮影されていない写真の場合は、単純にスライダーを動かすだけでは好ましい状態にもっていけない場合もあるかもしれません。
そのようなとき、基本的な写真のレタッチの流れを知っておけば色々な写真に対応できます。
以下ではLuminarNeoの基本的な機能を使って写真の基本的なレタッチの流れにそって作業をすすめながら、LuminarNeoの演出の機能も使ってポートレート写真を仕上げてみます。
Luminar Neoを使う準備
Luminar Neoでは、他の現像ソフトや写真管理を行うソフトによくあるように「カタログ」を作ってその中でパソコン内に保存してある多数の写真のデータを扱います。
Luminar Neoをインストールすると初期状態ですでにカタログが作られています。
もし自分の好きな場所に好きな名前のカタログを作りたい場合は、カタログの新規作成をします。
メニューから[ファイル>カタログ>新規]と進み、「保存」の画面で好きカタログ名を付けて「保存」をクリックすると「カタログ」のフォルダが作成されます。
カタログ内にはLuminarNeoが写真を管理するために必要ないくつかのファイルが作成されますが、とりあえずユーザーはそれらのデータを特に気にしなくても問題ありません。
複数のカタログを作った場合は、メニューから[ファイル>カタログ>開く]と進み、自分が作ったカタログのフォルダを選択して「開く」をクリックすることで扱うカタログを変更できます。
現像とレタッチの区別
カメラでRAWで撮影すると、写真を作り上げる処理は行われずにカメラが取り込んだ光の情報そのままに近い状態のデータとして保存されます。そのRAWデータを現像ソフトで開き、明るさ・コントラスト・色合いなどを調整して写真を作るような作業が現像です。
一応すでに作り上げられてJPGなどの画像データになっている写真を、さらに明るさ・コントラスト・色合いを調整したり、レンズのゴミやその他写真に写り込んだ不要なものを消去するなどの加工・修正などを行なってより好ましい仕上がりの写真を作るような作業をフォトレタッチと言ったりします。
現像もレタッチも、明るさ・コントラスト・色合いを調整し、必要ならさらに部分ごとの細かい処理を行うという作業で、扱っているデータの種類は異なりますが行う作業はほぼ似たようなものです。
このページでは例としてJPG形式の画像データのレタッチを行ないます。
Luminar Neoで人物写真を現像・レタッチ、演出する手順の一例
以下の人物の写真をレタッチしてみます。
手順1 写真のデータを読み込む
まず写真のデータを読み込みます。
画面上部で「カタログ」を選び、「写真を追加」をクリックし、フォルダを選択して「追加」をクリックするとそのフォルダごと読み込まれ、ファイルを直接選択して「追加」をクリックすると写真のファイルを個別に読み込めます。
RAWや画像データを読み込むとLuminarNeoのカタログにそのファイルの情報が登録されLuminarNeo上で管理したり編集したりできる状態になりますが、元のファイル自体は元々保存されている場所から移動せず、変更も加えられません。
読み込めるデータ
JPG、TIF、PNG、PSDは読み込めました。普通の写真を扱うならこのあたりが読み込めれば問題ないでしょう。
RAWデータについては以下のLuminarNeo公式のページに対応カメラ一覧が掲載されています。
メジャーなカメラはある程度対応しています。
また、DNGも読み込めます。
自分のカメラのRAWデータに対応していない場合
2022年2月28日時点で私が試した限りでは、私が持っているSigmaのカメラのRAWデータのX3Fには対応していませんでした。
そのような場合は、別のRAW現像ソフトなどがあればそのソフトでX3Fを開いて、何もせずにDNGで保存します。
DNGはLuminarNeoで読み込めるので、書き出したDNGを読み込んでLuminarNeoで作業できます。
写真をカタログから削除するときは注意が必要
Luminar Neoのカタログから写真を削除したい場合は、カタログの写真上で右クリックして「Luminar ゴミ箱へ移動」を選ぶとLuminar Neoのカタログ内の「ごみ箱」へ移せます。
Luminar Neoのカタログ内の「ごみ箱」に移動しただけで、パソコン内に保存してある元のデータは削除されずそのまま存在します。
ところが、Luminar Neoのカタログ内の「ごみ箱」からも完全に削除しようとすると、「ゴミ箱の中のこのファイルを本当に削除しますか? このアイテムをシステムのごみ箱へ移動します。実行すると取り消しできません。」という警告のダイアログが表示され、「ゴミ箱へ移動」をクリックすると元のファイル自体が削除されてOSのゴミ箱へ移動してしまいます。
カタログを作って写真を管理したりRAW現像したりするソフトの多くは、カタログから完全に写真を削除しても元のファイルに影響がない場合がほとんどで、たいていはハードディスクから完全に削除できるとしても、カタログから削除するか、ハードディスクから完全に削除するか、を選択できる場合が多いです。
しかしLuminar Neoのカタログ内の「ごみ箱」から削除する場合は、私が探した限りではカタログから削除して元データは残すという選択肢が見つからず、元データがOSのゴミ箱に移動してしまうので注意が必要です。
もし間違えて元データも削除してしまったら、すぐOSのゴミ箱を開いてデータを元に戻しましょう。
手順2 編集作業に入る
画面上部で「カタログ」を選んだ状態で写真一覧の中から編集を開始したい写真を選択し、画面上部で「編集」をクリックして編集作業に入ります。
手順3 RAWデータを使用する場合、プロファイルを適用する
撮影したRAWデータを使用する場合は「エッセンシャル>現像>カメラプロファイル」の欄で、適用するカメラプロファイルを選択します。
初期状態で「Luminarデフォルト」、カメラに備わっているプロファイルなどが選択可能になっています。
ColorCheckerPassportなどのカラーターゲットをカメラで撮影して自作したプロファイルも使用できます。カメラプロファイルの選択欄で「カスタムDCPプロファイルを読み込む」を選び、パソコン内のカメラプロファイルが保存されているフォルダから使いたいカメラプロファイルを選び、「開く」をクリックするとカメラプロファイルが適用されます。
参考記事
選ぶカメラプロファイルによって写真の色が変わります。
プロファイルを適用したら、ここから先はRAWデータを現像、レタッチする場合も、JPG画像などをレタッチする場合も、作業はほとんど同じです。
手順4 大幅なトリミングが必要なら先に行う
少しのトリミングなら、写真を仕上げたあとに行なっても問題ありません。
しかし、大幅なトリミングを行う場合はトリミングの仕方によってレタッチの操作を変える必要があります。
そのため、大幅なトリミングが必要な写真を現像、レタッチする場合、トリミング作業を先に行なっておきます。
「クロップ」をクリックし、トリミングの枠を動かしてトリミング位置を確定し、再び「クロップ」をクリックしてパネルを閉じるとトリミングが確定します。
トリミング位置を変えたければ「クロップ」のパネルを開いていつでも変更できます。
手順5 写真全体の明るさの調整
「ライト」で調整
エッセンシャルの「現像>ライト」の「露出」で写真全体の明るさを調整します。
顔の明るさは後から調整できるので、写真全体が明るすぎて不自然にならない範囲にとどめます。
元々明るい場所があり、写真全体をちょうど良い明るさに調整すると元々明るかった場所が明るくなりすぎるなら、「ハイライト」のスライダーを左に動かすことで明るすぎる部分の明るさを抑えることができます。
暗い部分が暗すぎる場合は「シャドウ」のスライダーを動かすことでシャドウの部分を明るくできます。
ただし、「シャドウ」のスライダーで暗い部分を明るくすると不自然になりやすいので、使うとしても控えめにします。
必要なら「白黒」でさらに調整
エッセンシャルの「現像>白黒」の「白レベル」で写真の明るい部分、「黒レベル」で暗い部分の明るさをさらに調整できます。
雰囲気で言えば、「ハイライト」よりも「白レベル」の方が真っ白に近い部分の明るさが変化します。そのため調整しすぎると白飛びしやすいです。
反対に「シャドウ」よりも「黒レベル」の方が真っ黒に近い部分の明るさが変化します。そのため調整しすぎると黒潰れしやすいです。
他の調整機能も同様ですが、この調整スライダーを利用して良い仕上がりになるなら使い、それほど必要なければ無理に使わずに次へ進むのも良いでしょう。
手順6 コントラストの調整
「スマートコントラスト」で調整
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「スマートコントラスト」で写真全体のコントラストを調整します。
「トーンカーブ」でコントラストを微調整
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「トーンカーブ」でコントラストを多少高めるなどの微調整ができます。
「トーンカーブ」の下の中央のポイントを右に動かすとシャドウの部分がより暗くなり、少しコントラストが高く感じられるようになります。
ただし同時に写真全体が暗くなります。
斜めに引かれている「トーンカーブ」の線を直接動かしてもコントラストや明るさの具合を調整できます。
しかし、トーンカーブを直接操作するならPhotoshopなどの画像編集ソフトを使っているのと大差ないような状態になってきてしまい、Photoshopよりは簡単な操作で写真の見栄えをよくできるソフトを使っている意味が薄れてきてしまうので、「トーンカーブ」を使うとしたら下部の中央のポイントを多少動かす程度に収めた方が良いでしょう。
「トーンカーブ」を微調整しただけではコントラストの加減が理想的にならないなら、「トーンカーブ」を使うのを止めて「ライト」の「シャドウ」や「スマートコントラスト」などの調整に戻って再調整してみるのも良いでしょう。
今回の例の写真はトーンカーブの操作は不要なので飛ばします。
手順7 レンズ補正
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「光学」でレンズ補正を行ないます。
「光学」でフリンジの除去
被写体の輪郭などに不要な緑や赤や紫のフリンジが発生している場合、「自動フリンジ削除」にチェックを入れて改善されるようならチェックを入れます。
「レンズ歪み」でレンズの歪みの補正
レンズの影響で写真に樽型や糸巻き型の歪みが感じられる場合、「レンズ歪み」のスライダーを操作して改善してみます。
何か目印を設定して精密に補正するような感じではなく、写真を見て特に歪みが気にならない程度になればそれで問題ないでしょう。
「ビネット除去」「ビネット除去中間点」でビネットの除去
カメラの構造上の原因で起こる写真周辺が暗くなるビネットを、「ビネット除去」「ビネット除去中間点」で写真周辺を明るくすることで除去できます。
「ビネット除去」でどのくらい周辺を明るくするか調整し、「ビネット除去中間点」で写真の周辺からどのくら内側まで明るくするかを調整します。
ただし、ビネットがあった方が好ましい場合もあり、ビネットは絶対に除去するべきというわけでもないので、好みに合わせて判断します。
以上で写真全体の明るさ、コントラストについてある程度調整し終わりました。
手順8 ホワイトバランスの調整
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「カラー」でホワイトバランスの調整を行ないます。
「暖かみ」「色合い」でホワイトバランスの調整
写真全体を見ながら「暖かみ」「色合い」のスライダーを操作して、写真全体の色を調整します。
「暖かみ」のスライダーを動かして、写真が青っぽくも黄色っぽくも感じないように調整します。
「色合い」のスライダーを動かして、写真が緑っぽくもマゼンタ(ピンクと赤が混ざったような色)っぽくも感じないように調整します。
そのように調整するとニュートラルな色合いに近くなります。
ただし、オレンジっぽい夕方の写真や、青っぽい天文薄明の時間帯の写真などであれば、無理にニュートラルにせずにオレンジや青っぽい状態で問題ありません。
この段階で理想的な色合いにならなくても大丈夫です。
この後にさらに色調補正を行うので、可能な範囲で調整できたら次へ進みます。
スポイトは良い結果になるなら使う
ホワイトバランス用の「スポイト」のマークをクリックし、写真の中の無彩色だと思われる場所をクリックするとことでホワイトバランスをとることもできます。
良い結果になるなら使うのも良いでしょう。かなりおかしな色合いになることも多いので、そのような場合は無理に使わずに手動で調整した方が良いでしょう。
手順9 写真全体の彩度の調整
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「カラー」で写真全体の彩度の調整を行ないます。
「彩度」「自然な彩度」で調整
「彩度」のスライダーで写真全体の彩度を調整します。
「彩度」の調整だけでは理想的な彩度にならない場合は「自然な彩度」を操作してみます。「自然な彩度」はある程度強く効果をかけてもあまり不自然な色にならずに彩度を高められます。
レタッチを行なったデジカメの写真で彩度を高くし過ぎて不自然な仕上がりになっているものをよくみかけます。不自然になってしまうのであまり彩度を上げすぎない方がよいでしょう。
「シャープネス」を一旦飛ばす
エッセンシャルの現像のライトのカラーの下に「シャープネス」のパネルがあり、その下に「ノイズ削減」のパネルがあります。
ある程度パネルの並び順に従って進めれば、写真全体の明るさ、コントラストの調整がとりあえず終わったところで「シャープネス」でシャープにし、明るさとシャープネスの処理を行えばノイズの目立ち具合も分かってくるので、そこで「ノイズ削減」をする、というような流れになるでしょう。
好みやその時々の都合により判断は異なりますが、シャープネスはできれば最終的な用途に合わせてサイズ変更等も行なった後にかけたいので、このページの作業例ではまだ「シャープネス」をかけずに次へ進みます。
手順10 ノイズ削減
引き続きエッセンシャルの「現像>ライト」の「ノイズ削減」でノイズを軽減します。
写真の表示を100%やそれ以上にし、ノイズの状態を確認します。
輝度のノイズが目立つようなら、「増強」のスライダーは初期値のまま、「ルミノシティ」のスライダーを動かして輝度ノイズが目立たないように調整します。
緑や赤などの不要な色のカラーノイズが目立つようなら、「増強」のスライダーは初期値のまま、「カラー」のスライダーを動かしてカラーノイズが目立たないように調整します。
「増強」のスライダーの意味は正確には分かりません。
とりあえず初期値のまま「ルミノシティ」「カラー」のスライダーでノイズ軽減をしてみて、それでも理想的な状態にならなければ試しに「増強」を動かしてみるのも良いでしょう。
今回の例の写真はノイズは目立たないので「ノイズ削減」はせずに進みます。
次へ進むと「現像」の調整内容は「編集」へ保存される
「現像」パネルを使った調整が一通り終わったので、この後はさらに下の調整機能へ進みます。
例えば「現像」の下の「補正」をクリックすると、「現像」のパネルはたたまれて、「現像」の調整内容は「編集」の方へ保存されます。
そして「ツール」の「現像」は初期値の状態になります。
初期状態の「現像」パネルで何らかの調整をしてパネルを閉じると、その内容も「編集」に保存され、「編集」に「現像」の調整内容が二つ存在する状態になります。
そのように、調整した内容は順次「編集」に積み重なっていきます。
手順11 Luminar Neoの「補正」という機能
「補正」というパネルへ進みます。
「アクセント」はAIが判断して自動で写真の見栄えを変えてくれるスライダーです。動かして良い効果が出るなら使います。
「スカイエンハンサー」はAIが判断して自動で空の見栄えなどを変えてくれるスライダーです。動かして良い効果が出るなら使います。
今回の例の写真は空は写っていないので効果はほとんどありません。
手順12 「消去」で不要物の消去など
エッセンシャルの「消去」パネルで不要物の消去を行います。
例えば、シミを消してくださいという要望があったとして、シミを消してみます。
「ブラシ範囲」でブラシのサイズを調整し、ブラシで画像上の消去したい場所を塗ります。
「消去」をクリックするとブラシで塗った場所にあったものが消え、周囲の絵柄で埋められます。
「ほこりを除去」
「ほこりを除去」をクリックするとLuminar Neoが自動的に判断して写真全体からレンズの汚れの点などが削除されます。
クリックしてみて良い結果になるなら使うと作業時間が短縮できます。
なお、ブラシを使う通常の「消去」の作業が終わったら、一旦「消去」のパネルを閉じた方が良いでしょう。
「消去」のパネルを閉じると、ブラシを使う通常の「消去」の処理結果が確定して「編集」に移動します。
改めて「消去」のパネルを開いて「ほこりを除去」を行なってみます。
結果があまり良くなれければ「ツールをリセット」のマークをクリックして「ほこりを除去」の処理前に戻れます。
手順13 「縁取り」
「縁取り」はLuminar Neoが自動で判断してコントラストと細部の輪郭を強調して表面の質感を際立たせる機能です。
人物しか写っていない写真ならあまり必要ないかもしれません。
動かしてみて、何か良い結果になるなら使い、必要なければ使わずに次へ進みます。
手順14 「カラーバランス」で写真全体の色調補正
この段階で写真全体の色合いがイマイチなら、「カラーバランス」を使って色調補正を行ないます。
もし、肌の色や植物の色など場所ごとの色は多少イマイチでも写真全体をみた場合の色合いは特に問題がないようであれば、「カラーバランス」は飛ばしても良いでしょう。
「カラーバランス」は一番下の方のプロフェッショナルの「カラーハーモニー>カラーバランス」にあります。
初心者にも使いやすい写真編集ソフトでは、多くの場合Photoshopの「カラーバランス」のような色調補正の方法が用意されていないか、あっても上級者向けの場所にあったりします。おそらくその方が初級者にとっては分かりやすいという判断だと思われます。
しかし写真の色合いを希望通りに変化させるとしたら、Photoshopの「カラーバランス」のようにシャドウ、中間調、ハイライトに分けて色を操作できないとうまくいきません。
Luminar NeoではPhotoshopの「カラーバランス」とほぼ似ている「カラーバランス」という機能が用意されているので、この段階で「カラーバランス」を使って写真全体の色調補正をします。
※写真全体の色については特に不満がなければ「カラーバランス」は飛ばして次へ進みます。
「シャドウ」を選び、主に暗い部分の色合いを調整します。
暗い部分だけでなく写真全体を見ながら「シアン-レッド」のスライダーを動かし、写真全体にシアンっぽさもレッドっぽさも感じないように調整します。
同じように「マゼンタ-グリーン」スライダーで写真全体にマゼンタっぽさもグリーンっぽさも感じないように、「イエロー-ブルー」スライダーで写真全体にイエローっぽさもブルーっぽさも感じないよう調整します。
この結果写真が色かぶりのないニュートラルな色合いに近づきます。
次に「ハイライト」を選び、主に明るい部分の色合いを調整します。操作方法は「シャドウ」の場合と同様です。
最後に「中間調」を選び、中間くらいの明るさの部分の色合いを調整します。操作方法は「シャドウ」「ハイライト」の場合と同様です。
手順15 「カラー」の「HSL」で色合い別の色補正
写真全体に対する基本的な色調補正は終わったので、場所ごとの色調補正を行ないます。
エッセンシャルの「カラー>HSL」で「色相」を選び、各スライダーを操作して色合いごとに色相を調整できます。
例として肌の色を調整してみます。
「色相」を選び、「イエロー」のスライダーを左へ動かすと、黄色気味に写っていた肌の色が赤みを帯びてきます。
同様の操作で、写真のうち特定の色合いごとに色合いを調整できます。
特定の場所だけを調整するためにはマスクを使う
例えば、色相のイエローのスライダーで色相を調整した場合、黄色に近い色合いの髪の毛なども色が変わります。
「カラー」パネルの目のマークをクリックすると、「カラー」パネルの効果をかける前と後を比較でき、どこに効果がかかっているか確認できます。
写真全体ではなく肌だけに効果をかけるためにはマスクを使います。
「マスクを追加」のボタンをクリックし、マスクを追加するパネルを表示します。
ブラシのサイズなどを調整し、効果をかけたい場所を塗ります。
マスクの操作パネルでマスクを調整できます。
消しゴムのマークをクリックして先ほど塗った部分を消したり、「マスクを表示」を選んで効果がかかる場所を確認したりできます。
マスクを作ったら、先ほどの「カラー」パネルの目のマークをクリックして、指定した場所だけに効果がかかっていることを確認します。
手順16 「カラー」の「HSL」で色合い別の明るさの補正
同じくエッセンシャルの「カラー>HSL」で「ルミノシティ」を選び、各スライダーを操作して色合いごとに明るさを調整できます。
今回の例の写真なら、人物の肌の色がオレンジや黄に近い色合いなので、「オレンジ」「イエロー」のスライダーを動かして顔を少し明るくしたりできます。
先ほど肌の色合いを変更してマスクを作ったパネルで「ルミノシティ」の調整を行えば、マスクしている場所だけに明るさの調整をかけられます。
もし先ほどのマスクとは別に調整を行ないたい場合は、一旦「カラー」のパネルを閉じて、改めて「カラー」の「HSL」で調整を行ないます。すると先ほどマスクをかけた調整内容は「編集」に移動し、マスク処理を行っていない「カラー」パネルを使って新規に「HSL」の調整ができます。
手順17 「カラー」の「HSL」で色合い別の彩度の補正
同じくエッセンシャルの「カラー>HSL」で「彩度」を選び、各スライダーを操作して色合いごとに彩度を調整できます。
以下では人物の肌の首と手の部分が他に比べて彩度が高いので、「イエロー」のスライダーを動かして彩度を下げ、マスク処理で首と手だけに調整をかけました。
なお、「HSL」の「色相」の調整のときに作ったマスクとは別のマスクを作る必要があるので、一旦「カラー」パネルを閉じ、改めて「カラー」パネルを開いて「HSL」の「彩度」の調整をしています。
「詳細」は今回は飛ばす
「詳細」でシャープネスの処理などができます。
しかしシャープネスの処理は後で行いたいのでここでは飛ばして次へ進みます。
「ノイズ軽減」
エッセンシャルの「詳細」の下に「ノイズ軽減」パネルがあります。
一方、「現像」パネルの中にも「ノイズ軽減」があります。
他の現像ソフトなどであれば、RAW現像でもJPG画像などの調整でも「ノイズ軽減」など各機能はたいてい共通です。
Luminar Neoでは「現像」パネルの「ノイズ軽減」の他に「ノイズ軽減」というパネルがあり、どのような違いあるのかよく分かりません。
とりあえず今回の例では「現像」パネル内の「ノイズ軽減」でノイズ軽減は行なったのでそのまま次へ進みます。
手順18 ビネット
エッセンシャルの「ビネット」でカメラの構造上写真の周辺が暗くなってしまうビネットの効果を再現できます。
「適用量」と「サイズ」のスライダーでビネットの加減を調整すると普通のビネットが再現できます。
さらに、「被写体を選択」をクリックして写真の中のどこかをクリックすると、その場所を中心としてビネットの効果がかかるようになります。
そこで、写真の中心ではない位置に人物が写っているなら、「被写体を選択」でその人物の顔をクリックすると顔を中心にしてビネットの効果をかけられます。
今回の例の写真は人物が中央に写っているのでビネットの効果の中心をずらす必要はありませんが、以下は効果を試すためビネットの効果を強くかけて、「被写体の選択」をクリックして写真の中の右上寄りのあたりをクリックしてみた結果です。
「丸み調整」「フェザー」でビネットの効果の境界を調整できます。
「インナーライト」でビネットの効果の中央部分の明るさを変更できます。
手順19 「リライト」で逆光の修正、前景と背景それぞれに明るさの調整、演出
クリエイティブの「リライト」で近くに写っている被写体と遠くに写っている被写体それぞれに明るさと色合いを調整できます。
この機能を使って背景の明るさを維持したまま前景のみ明るくすることで逆光の写真を修正できます。
また、前景と背景の明るさと色合いを別々に調整することで目立たせたい場所だけを明るくするような演出もできます。
PhotoshopやCamera Rawで逆光の写真を直すとしたらある程度ソフトを使い慣れている必要がありますが、Luminar Neoの「リライト」なら単なるスライダーの操作だけである程度簡単に逆行を直せるでしょう。
以下は「リライト」で前景と背景それぞれに明るさを変更する操作の例です。
「リライト」の「近くの明るさ」スライダーで前景のみを明るくできます。
以下は「近くの明るさ」「遠くの明るさ」のスライダーを動かして前景と背景の明るさをそれぞれに調整した例です。
「濃度」のスライダーの効果の詳細は分かりませんが、操作すると前景と背景の明るさの境界が変化します。
今回の例のポートレート写真は「リライト」が必要な場所はないので、次へ進みます。
「スカイ」で空の調整、演出
「クリエイティブ」の「スカイ」で空を合成したり演出したりできます。
今回の例のポートレート写真は空が写っていないので次へ進みます。
「アトモスフィア」で霧や霞を追加して演出
「クリエイティブ」の「アトモスフィア」で写真に霧や霞を追加して演出できます。
今回の例のポートレート写真は「アトモスフィア」を使って演出するような場所はないので、次へ進みます。
「太陽光線」で演出
「太陽光線」で日の光を追加して演出できます。
今回の例のポートレート写真は太陽光線を追加して演出するような場所はないので、次へ進みます。
「ドラマチック」で「銀残し」(ブリーチバイバス)風の演出
クリエイティブの「ドラマチック」で、コントラストが高めで多少彩度が低く明瞭な感じの「銀残し」(ブリーチバイバス)風の演出ができます。
今回の例のポートレート写真では必要がないため、次へ進みます。
「ムード」で写真全体を演出
「ムード」ではLUT(ルックアップテーブル)のプリセットを選んで適用することで、写真全体のコントラスや色合いを変化させて演出できます。
今回の例のポートレート写真では必要がないため、次へ進みます。
「階調」でハイライト、シャドウそれぞれに色補正したり、特殊効果をかけたりできる
「クリエイティブ」の「階調」は、Adobe®のLightroom ClassicやCamera Rawの「カラーグレーディング」(以前の名前は「明暗別色補正」)に相当するような機能です。
写真のハイライト(明るい部分)とシャドウ(暗い部分)それぞれに色合いを変化させて、特殊な演出などを行えます。
今回の例のポートレート写真では必要ないため、次へ進みます。
「マット」で被写体を平坦な色合いにする演出など
「クリエイティブ」の「マット」で写真の色合いを平坦に単純化させたりできます。
今回の例のポートレート写真では必要がないため、次へ進みます。
「神秘」でソフトフォーカス風の演出など
「クリエイティブ」の「神秘」でソフトフォーカス風の効果をかけたり、色合いを変化させて幻想的な写真に演出できます。
今回の例のポートレートでは必要がないため、次へ進みます。
「光沢」でソフトフォーカス、オートン効果などの演出
「クリエイティブ」の「光沢」でソフトフォーカスやオートン効果などピントが合っている状態とぼかした状態を合わせた効果をかけられます。
今回の例のポートレートでは使わず、次へ進みます。
「フィルム粒子」でフィルム写真風の雰囲気を演出
「クリエイティブ」の「フィルム粒子」でフィルムの粒子を再現し、フィルム写真風の雰囲気を出せます。
今回の例のポートレート写真では使わず、次へ進みます。
手順20 「ポートレートボケ」で背景をぼかす
「ポートレート」の「ポートレートボケ」で、ポートレート写真の背景だけをぼかせます。
以下の背景もある程度ピントが合っている写真の背景をぼかしてみます。
「適用量」を上げると、人物の部分に自動的にマスクが作成され、背景だけがボケます。
マスクは自動的に作成されますが、「ブラシコントロール」の欄でブラシのサイズ等を調整し、写真上を塗ることでマスクを修正することもできます。
「背景」のパネルを操作して背景のボケ具合を細かく調整できます。
今回の例のポートレート写真は均一な背景で撮影した写真で「ポートレートボケ」は必要ないため、次へ進みます。
手順21 「フェイス」で顔の明るさと形の操作
「ポートレート」の「フェイス」で、顔の明るさと形を操作できます。
「フェイスライト」で顔の明るさが変わります。
「フェイスライト」をかけ過ぎると顔だけが明るくなり過ぎて不自然になるので、加減します。
「スリムフェイス」で顔の形が変化します。
今回の例のポートレート写真では顔の明るさはある程度明るくしてあり、顔の形は変える必要がないので次へ進みます。
手順22 「フェイス」-「目」で目のレタッチ、演出
「フェイス」の「目」のパネルで目の演出ができます。
「アイリス」で瞳の色を変えられます。
「アイリス」で瞳の色を変えたら、「アイリス視認性」のスライダーで変更後の瞳の見え方を変えられます。
「アイリス・フレア」で変更後の瞳の見え方を変えられます。
「目を大きくする」で目を大きくできます。
「アイホワイトニング」で白目を白くできます。
「アイホワイトニング」は白目が白くなるだけでなく、同時に白目の明るさも明るく変化します。かけ過ぎると不自然になるので加減します。
今回の例の写真では「アイホワイトニング」を20にしてみます。
「アイエンハンサー」で目全体の見え方に演出がかかります。
今回は50にしてみます。
「赤目除去」で赤目を改善できます。
「クマの除去」でクマを除去できます。
「クマの除去」をかけすぎると黒目が白っぽくなってしまうので加減します。
「まゆげの改善」でまゆげの濃さなどが変化します。
手順23 「フェイス」-「口」で口のレタッチ、演出
「フェイス」の「口」のパネルで歯や唇など口のレタッチができます。
「リップの彩度」で唇の彩度を高められます。
「リップの赤み」で唇をより赤くできます。
「唇の暗色化」で唇を暗い色に変化させられます。
「歯のホワイトニング」は歯を白くする機能ですが、この機能をかけると白くなるというよりは明るくなるので、不自然にならないよう加減します。
「カラー」の「HSL」を使って歯を白くできる
「歯のホワイトニング」ではあまり自然に歯の色を白くできないので、「カラー」の「HSL」を使って歯を白くするのも良い方法です。
「カラー」の「HSL」で「彩度」を選び、「イエロー」のスライダーをマイナス側に動かします。歯というものは自然な状態ではたいてい少し黄色いので、「イエロー」スライダーをマイナスに動かすことで歯の色が白っぽく変化します。
この状態で、「カラー」パネルのマスクを使って歯だけに効果が加わるようにすることで、歯の色だけを白く調整できます。
手順24 「スキン」で肌の処理
「ポートレート」の「スキン」で肌を綺麗にする美肌処理のような操作ができます。
広告などで使う写真なら肌の処理を行うことも多いでしょう。
一方、知り合いの人を撮影した場合などであれば、美肌処理を希望されればするのも良いでしょうし、特に希望されなければ肌の処理は何もしないのも良いでしょう。
「適用量」で肌にかける処理の強さを調整します。強くかけると写真編集ソフトで美肌処理をしたということが明確に分かるような状態になるので、自然に肌をきれいにできる程度に加減します。
「光沢を除去」で肌のテカリを抑えられます。
無理にテカリを消すと不自然になるので、テカリがあっても問題ないなら「光沢を除去」は使わないのも良いでしょう。
鼻のテカリは残した方が自然だが、おでこのテカリだけは少し抑えたい、というような場合なら、「光沢を除去」でテカリを抑えた上、「スキン」パネルのマスクを使っておでこだけに効果をかけることができます。
「肌荒れ除去」はニキビなどを判断してピンポイントで自動的に消すような機能です。
本来消したくないものが消えてしまう可能性もあるため、使う場合は注意が必要です。
今回の例のポートレート写真では「適用量」を30にしてみます。
手順25 「ボディ」
ポートレートの「ボディ」で体型を変化させられます。
広告の写真などであれば、体型を操作することもあるでしょ。
一方、知り合いの人を撮影した写真などであれば、体型の調整を希望されれば調整するのもよいでしょうし、特に希望されなければ何もしない方が良いでしょう。
今回の例の写真では必要がないので、次へ進みます。
手順26 「ハイキー」でハイキーな写真に演出
「ポートレート」の「ハイキー」で標準的な露出の状態より明るめに写ったハイキーな写真になるよう調整できます。
今回の例の写真では使わずに次へ進みます。
手順27 「スーパーコントラスト」でシャドウ、ハイライト、中間調それぞれにコントラストの調整
「プロフェッショナル」の「スーパーコントラスト」で、写真のシャドウ、ハイライト、中間調それぞれについてコントラストを調整できます。
他の機能を使ってもうまくいかない場合は使うのも良いでしょう。
「カラーハーモニー」で色の操作
「プロフェッショナル」の「カラーハーモニー」で色を操作できます。
「華麗」で色が強くなり、「暖かさ」のスライダーで色合いが変化します。
他の機能でどうしてもうまくいかない場合は使ってみるのも良いでしょう。
「カラーコントラスト」
「カラーコントラスト」で色合いを限定してコントラストを変えるような操作ができます。
他の機能でどうしてもうまくいかない場合は使ってみるのも良いでしょう。
「スプリットカラー温度」
「スプリットカラー温度」は画像の冷たいトーンと暖かいトーンの部分それぞれに色合いを変化させるような機能です。
他の機能では実現できない演出や調整をしたいときには使うのもの良いでしょう。
とりあえず現像、レタッチ作業の完了
以上で現像、レタッチ作業は完了です。
画像データの書き出し
現像、レタッチ作業が完了したら、たいていは用途に合わせて画像データを書き出します。
ここでは例としてインクジェットプリンターでA4判(210×297mm)の用紙に写真を印刷するための画像データを書き出してみます。
用途に合わせて画像データの解像度を決める
用途に合わせて画像データの解像度を決めます。
今回はインクジェットプリンター出力に使う画像データを書き出したいので300ppiにしてみます。
- インクジェットプリンターで印刷する場合:250〜350ppiくらいあれば足ります。
- オフセット印刷で使用する場合:写真やイラストを一般的なオフセット印刷で使うなら350ppiあれば足ります。
クッキリした線だけで描いた絵や文字の場合は1200ppiくらいあるのが理想です。 - ウェブページに載せる場合:解像度は無視して問題ありませんが、何らかの数値に設定する必要があるので72、96、100ppiなど適当に決めます。
書き出す画像のピクセル表記のサイズを計算する
画像編集ソフトや現像ソフトでは、必要な解像度と出力サイズ(mm、cm等で表記したサイズ)を入力すると画像データの絶対的なサイズは自動的に計算される場合が多いです。
一方、Luminar Neoで画像を書き出す場合は画像のサイズをピクセルで指定する必要があります。
そこで、書き出す画像データのピクセル表記のサイズを計算します。
以下のフォームに画像解像度、出力サイズを入力して、必要な画像サイズ(ピクセル表記)を計算できます。
今回の例ではインクジェットプリンターでA4判(210×297mm)の用紙に印刷するのに適した画像データを作りたいので、「解像度」を「300dpi」に、「画像の出力寸法」を用紙の短辺の長さ「210mm」にします。
「必要な画像データのサイズ」が計算され「2481px」と表示されます。
これが書き出す画像データの短辺の長さです。
同じ手順で、書き出す画像データの長辺の長さを計算すると3508pxと表示されます。
以上で、書き出す画像データは短辺2481px、長辺3508pxほどのサイズにすると良いと分かりました。
書き出す
メニューから[ファイル>エクスポート]と進み、画像書き出しの画面を表示し、各設定をします。
シャープ化
「シャープ化」は「なし」にします。シャープ処理は後ほど行います。
リサイズ
「リサイズ:」で「画像サイズ」を選び、「サイズ:」で「2481 × 3508」または「3508 × 2481」と入力します。
「画像サイズ」の「サイズ」の2つある数値入力欄は縦横は関係ないので、一方に2481、もう一方に3508が入力されていればそれで問題ありません。
色空間
「色空間:」は自分の都合に合わせて選びます。
カラーマネジメントシステムの利用にあまり慣れていない場合は「sRGB」を選ぶと良いでしょう。sRGBの画像データは初級者が扱った場合でもある程度正確に扱える場合が多いです。
カラーマネジメントシステムの利用に慣れていれば「AdobeRGB」を選ぶと良いでしょう。インクジェットプリンターはsRGBより色再現域の広い機種が多数あるので、AdobeRGBを選んだ方が写真のデータの色を生かして出力できます。
「ProPhoto RGB」を選ぶとLuminar Neoで作った写真の色そのままに画像データとして書き出せる可能性が高いですが、インクジェットプリンターで出力するための写真を書き出す場合なら無理にProPhotoRGBで書き出さずAdobeRGBで書き出せばたいていは十分です。
Luminar Neoから書き出した画像データをさらに別のソフトで扱うならProPhoto RGBで書き出した方が良い場合もあるかもしれません。
ファイル形式
「ファイル形式:」は、今回はこの後にもう一度処理を加える予定があるので画像を劣化させないために「TIFF」を選びます。
「圧縮:」で「LZW」を選ぶと画像を劣化させずになおかつデータ容量をかなり小さくできます。(「なし」でもいいです。)
視界深度
なぜ「視界深度」という項目名になっているのかは分かりませんが、この設定欄は画像の1チャンネルあたりの色数を決めるビット数の設定欄です。
通常は「8 bits」を選べば問題ありません。約1670万色を表現できる一般的な8ビットの画像データとして書き出されます。
「16 bits」を選ぶと色数は理屈では約280兆色を表現可能な16ビットの画像データとして書き出されます。
この後さらに別のソフトで処理を行う予定など、何か事情があれば16ビットで書き出す場合もありますが、最終的に使用する画像を書き出す場合は通常は8ビットの画像を書き出せば問題ありません。
解像度
「解像度:」は先ほど画像サイズを計算する前に決めた解像度を入力します。
今回はインクジェットプリンター出力用の画像ということで、300ppiあれば問題ないと判断したので「300 pixels/inch」にします。
書き出した画像データをレイアウトソフト上に配置する作業を行うような用途では「解像度:」の設定次第でレイアウトデータ上で表示される寸法が変わってきます。
保存
ファイル名を入力して「保存」をクリックして画像データを書き出します。
以上で、210×297mmの長方形に収まるサイズで、解像度の設定が300ppiになっているTIFデータが書き出されました。
シャープネス処理
ここまでの操作で、現像、レタッチが終わり、用途に最適な寸法にサイズ変更した画像データが完成しました。
Luminar Neoは現像ソフトに似たソフトで、シャープネス処理はサイズ変更前の現像・レタッチの段階のシャープ用の機能か、画像データの「エクスポート」の際にシャープ化を行う、という作りになっています。
しかし、写真を扱い慣れているとサイズ変更した後に目で確認しながらシャープネス処理を行いたくなります。
そこで、サイズ変更まで行ったこの段階でシャープネス処理を行なってみます。
先ほど書き出したTIF画像を再度LuminarNeoに読み込みます。
「エッセンシャル」の「詳細」でシャープネス処理ができます。
ただし、Photoshopなどの画像編集ソフトのアンシャープマスクなどのような機能がなく、「ディテール」「シャープ」と名の付くスライダー類を動かしてシャープな見た目にできます。
一見Photoshop等の「アンシャープマスク」の量、半径、しきい値に似たようなスライダーもありますが、効果は大きく異なります。
シャープ処理は比較的難しい操作ですが、Luminar Neoは簡単な操作で見栄えの良い写真を作ることを目的にしたソフトなのであまり使うのが難しいアンシャープマスクのような機能はなく、扱いやすいシャープ関連の機能として「詳細」パネルが用意されているのかもしれません。
「詳細」パネルでシャープを行うとしたら、例えば「シャープ化」スライダーと「シャープ化のマスキング」の「半径」のスライダーでシャープの強さを調整し、「シャープ化のマスキング」の「マスキング」のスライダーを上げることで肌などシャープをあまりかけたくない場所にかからないよう調整する、といった手順である程度希望通りのシャープさに近づくかもしれません。
「詳細」パネルで全体に対してシャープ処理をしても希望通りの結果にならなければ、マスクを使うのも良いでしょう。
とりあえず写真全体に「詳細」パネルでシャープ処理をしたら、「詳細」パネルを一旦閉じます。
先ほどの「詳細」の操作内容は「編集」に移動し保存されるので、再度「詳細」パネルを開くと新たなシャープ処理を行えます。
例えば目だけを対象にして強めにシャープ処理をかけ、「詳細」パネル」のマスクを使って目だけを塗ります。これで肌などこれ以上シャープにしたくない場所はそのままで、目だけに強くシャープ処理を加えることができます。
以上で作業は完了です。
写真の利用
シャープネス処理をした写真を再度TIFFやJPGとして書き出して、プリンター付属の印刷用ソフトで開いて印刷したりできます。
印刷所に入稿するなら、印刷所でシャープネス処理を行う可能性が高いのでシャープネス処理は行わない状態でTIFFやJPGで書き出して入稿することもあるでしょう。
(印刷所のネット通販の場合、画像のシャープ処理を行うか行わないかは色々だと思われるため、通販サイトの説明を見る必要があります。)
Luminar Neoから直接プリンターで印刷することもできます。
この場合、Luminar Neo自体にはPhotoshopなどのように細かくカラーマネジメントの設定をする機能がないため、プリンタドライバーの画面でOSのカラーマネジメント機能を使う設定にしてプリンタープロファイルや色補正の有無の設定を適切に行うか、プリンタードライバーの色補正に任せる設定にして印刷すると、正常に印刷できます。
以上、LuminarNeoを使ってポートレートなどの人物写真のレタッチを行う手順の一例をご紹介しました。
LuminarNeo
参考記事