商品などの物をカメラで撮影して、物を実物と同じ大きさでプリンターで印刷したりオフセット印刷したりする方法の一例を紹介します。
大まかな流れ
物の寸法を計ります。
画像データに写っている物が実物と同じサイズになるように画像サイズを調整します。
画像データを100%のサイズでプリンター出力します。
物の写真を実物大でプリンター出力・印刷する手順の例
今回は例としてクマのぬいぐるみの写真を撮影して実物大でプリンター出力する手順の一例を示します。
実際の物の寸法を測定する
実際の物の寸法を測定します。
どこか分かりやすい1辺の長さを測ります。
例えば、ペンの写真ならペン先端から後端までの長さなどを定規で計ります。
缶ペンなら缶ペンの短辺か長辺のいずれかの長さなどを計ります。
今回の例の動物のぬいぐるみでは高さを定規で計っておきます。
約148mmです。

実際の物の分かりやすい場所の長さを測る
Photoshopを使う場合
Adobe® Photoshop®を使う場合の手順の例です。
1.Photoshopの設定
撮影した写真のデータをPhotoshopで開きます。
command+Rでルーラーを表示します。
ルーラー上で右クリックし、「mm」を選択し、単位をmmに設定します。

ルーラー上で右クリックして単位をmmに設定
またはメニューから[Photoshop>設定>単位・定規]と進み、「単位」の「定規」で「mm」を選びます。
これで長さを測定するときの単位がmmに設定されます。
2.画像解像度の設定
画像の解像度を決めます。
例えば、オフセット印刷なら写真は350ppiにしておけば問題ない場合が多いです。
インクジェットプリンター出力なら300〜350ppiくらいがちょうど良い場合が多いです。
今回は350ppiにすることにします。
メニューから[イメージ>画像解像度]と進みます。
「画像解像度」の画面で「再サンプル」のチェックを外します。
「解像度」を「350 pixel/inch」に設定します。
OKをクリックします。

画像解像度の設定
情報パネルのパネルオプションで「ドキュメントのサイズ」にチェックを入れておけば、情報パネルに画像の解像度が表示されます。

情報パネル
これで画像の設定上の解像度が変わりました。
画像のサイズ自体はまだ変えていません。
3.画像上の物を測る
長方形選択ツールで測る
長方形選択ツールで測りたいものの端から端までに合わせて選択範囲を作ります。
今回の例では先ほど実物を測った部分と同様にぬいぐるみの下から上までがピッタリおさまる選択範囲を作ります。

画像内の物の測りたい部分に合わせて選択範囲を作る
情報パネルの「W:」の欄に選択ツールで囲んだ範囲の幅方向の長さ、「H:」の欄に高さ方向の長さが表示されます。
今回の例では画像内のぬいぐるみの縦の寸法が約177.5mmくらいと分かりました。

情報パネルに表示された選択範囲の幅、高さの長さ
ものさしツールで測る
「ものさしツール」でも画像内の物の長さを測れます。
「ものさしツール」を選択します。

「ものさしツール」を選択
今回の例では実物のぬいぐるみの高さを測ってあるので、同じように画像データ内のぬいぐるみの高さを「ものさしツール」で計ります。
長さを測る物の端から端まで「ものさしツール」でドラッグします。
ドラッグした後に端をドラッグして移動すると微調整もできます。

長さを測る物の端から端まで「ものさしツール」でドラッグする
情報パネルの「L:」の欄にものさしツールで指定した部分の長さが表示されます。
今回の例では約176.8mmくらいと分かりました。
※多少の誤差は出ます。測る場所の両端がはっきり分かる場所を選んだりできるだけ大きく撮影しておくなどすると誤差は小さくできます。

情報パネル
なお、ものさしツールは水平方向と垂直方向だけでなく、斜めにドラッグすると斜め方向の長さも測れます。
例えば以下のペンの写真なら、斜めに写っているペンの先端から後端まで「ものさしツール」でドラッグしてペンの長さを測定できます。

ものさしツールで斜め方向の長さも測れる
4.拡大率・縮小率を計算する
「実物の寸法 ÷ 画像上の寸法」で拡大率または縮小率を計算します。
今回の例では
縮小率約83.38%です。
5.画像サイズを変更する
画像のサイズを変更します。
メニューから[イメージ>画像解像度]と進みます。
「再サンプル」にチェックを入れます。
再サンプルの方法は「バイキュービック法(滑らかなグラデーション)」などを選びます。(他の選択肢の方が都合が良い場合は好きなものを選びます。)
幅または高さを「83.38%」に設定します。
OKをクリックします。

画像解像度の画面
変更後の画像のぬいぐるみの高さを選択ツールかものさしツールで測ってみます。

サイズ変更後の画像内の物のサイズを測る
実物とほぼ同じ147.9mmになっています。

情報パネル
6.プリンター出力や印刷をする
オフセット印刷をするなら、今サイズ変更した画像データをCMYKに変換するなどの必要な操作をして、Illustratorなどのレイアウトソフトに原寸のまま配置して印刷へ進むとぬいぐるみがほぼ実物大で印刷されます。
インクジェットプリンターで出力する場合は以下のようにします。
Photoshopの「Photoshop プリント設定」の画面の「位置とサイズ」の「拡大・縮小したプリントサイズ」の「比率」を100%に設定します。
その他の印刷に関する設定は適切に行なって印刷すると、ぬいぐるみがほぼ実物大で印刷されます。

Photoshop プリント設定
Macの「プレビュー」を使う場合
Macの「プレビュー」を使う場合の手順の例です。
1.画像上の物を測る
「プレビュー」で画像ファイルを開きます。
メニューから[ツール>長方形で選択]と進み、測りたいものの端から端までに合わせて選択範囲を作ります。
今回の例では先ほど実物を測った部分と同様にぬいぐるみの下から上までがピッタリおさまる選択範囲を作ります。

測りたい場所の高さまたは幅に合わせて長方形の選択範囲を作る
長方形の選択範囲の一片をクリックして少し動かすと選択範囲のサイズ(単位はピクセル)が表示されます。
今回の例では下の辺をクリックして上下に少し動かした後に正確な位置で止めると、選択範囲の高さが約2427pxであることが分かります。寸法をメモしておきます。

長方形の選択範囲で物を測る。この例ではぬいぐるみの高さが約2427px。
2.解像度を決める
画像の解像度を決めます。
例えば、オフセット印刷なら写真は350ppiにしておけば問題ない場合が多いです。
インクジェットプリンター出力なら300〜350ppiくらいがちょうど良い場合が多いです。
今回は350ppiにすることにします。
3.拡大率・縮小率を計算し、サイズ変更する
ぬいぐるみの高さの実際の寸法は約148mmでした。
画像の解像度は350ppiにすることに決めました。
350ppiの画像で148mmは何ピクセルになるか計算します。
※少し下の方に「実物の寸法[mm]と解像度[ppi]と元画像上の寸法[px]から拡大・縮小率[%]を計算するフォーム」も載せてあります。
148(mm) ÷ 25.4 × 350(ppi) = 約2039(px)
元の画像上のぬいぐるみの高さは約2427px、実物大に変更後の高さは2039pxなので、以下の計算で拡大・縮小率を計算します。
2039(px) ÷ 2427(px) = 0.84013185
縮小率約84%です。
メニューから[ツール>サイズを調整]と進み、「縦横比を固定」をオン、「画像を再サンプル」をオン、「解像度」を「350 ピクセル/インチ」、「幅」または「高さ」を「84パーセント」にし、OKをクリックします。

サイズの調整の画面
これで解像度が350ppi、ぬいぐるみのサイズが実物大になっている画像データになりました。
4.プリンター出力や印刷をする
オフセット印刷をするなら、CMYKにプロファイル変換できるソフトなどで変換をして、Illustratorなどのレイアウトソフトに原寸のまま配置して印刷へ進むとぬいぐるみがほぼ実物大で印刷されます。
インクジェットプリンターで出力する場合は以下のようにします。
「プレビュー」のメニューから[ファイル>プリント]と進み、印刷設定の画面で「サイズ調整:100%」にして印刷します。

「プレビュー」の印刷設定の画面
以上、商品などの物をカメラで撮影して、物を実物と同じ大きさでプリンターで印刷したりオフセット印刷したりする方法の一例でした。