「CS240」はEIZO®のカラーマネジメント対応ディスプレイです。現在販売されている、AdobeRGBの色域をカバーしているカラーマネジメント対応ディスプレイの中では、価格が比較的低い製品です。
ここでは、EIZO CS240はどういうディスプレイかおおまかにまとめてみます。
現在はCS2400Sが発売中
CS240は生産終了になり、現在はCS2400Sという機種などが出ています。
参考記事
機器などを買うときの参考情報
電子機器の製造には深刻な国際問題も関係しています。
当然ながら、機器を使用する私たちユーザーもそれら国際問題の当事者の一人です。
仕事や創作活動などを意義あるものにするため、物を買う場合は社会的責任を果たしているメーカーや店の製品を選びましょう。
武装勢力や児童労働と関わりのある原料を使っていないかどうか
報道によれば、電子機器などの製造に必要な鉱物は武装勢力の資金源になっている鉱山で生産されたり、児童労働につながっているものもあるということです。
参考
華井和代「紛争下の性暴力の構造と日本の取り組み」ーデニ・ムクウェゲ医師来日講演会:平和・正義の実現と女性の人権
デニ・ムクウェゲ「コンゴ東部における性暴力と紛争鉱物(日本語字幕)」ーデニ・ムクウェゲ医師講演会2016
【アムネスティ】スマートフォンに隠された真実:あなたのケータイ、「児童労働」につながっていませんか?(日本語字幕付※設定をONにしてください)|アムネスティ日本
参考リンク
参考書籍
「人新生の「資本論」」で先進国から他の貧困国へ環境汚染その他の被害が押し付けられ外部化されていることが説明されていました。
電子機器などを購入する場合、紛争や児童労働などに関わりのない鉱物を使用しているかどうかなど、製造メーカーがきちんと管理された道筋で原料を調達しているかどうかを確認すると良いでしょう。
ウェブサイト等で原料調達に関する取り組みについて記載し、調査結果などを公開しているメーカーもあります。
使用後の製品の回収について説明されているかどうか
物が壊れたら、パソコンやPCモニター等ならPCリサイクルなどに出す、その他の電子機器なら小型家電リサイクルなどに出す、というように法律に従って回収に出す必要があります。
メーカーによっては使用後の機器の回収方法を分かりやすく説明したり、分かりやすい回収申し込みフォームを用意したりしています。
一方、使用後の機器の回収について丁寧とは言えない説明しか載せていないメーカーもあります。
きちんと回収して持続可能な事業活動をしようとしているまじめなメーカーを選びましょう。
表示可能な色域の広さ AdobeRGBくらい
カラーマネジメント対応ディスプレイを購入する方が一番気になると思われる色域については、AdobeRGBを99%カバーしています。
ただし、カラーマネメント対応ディスプレイを使う意味はハードウェア・キャリブレーションをはじめとしてキャリブレーションが正確にとれて画質も高い、ということです。
色域の広さは最重要点ではありません。
よって、色域の広さはsRGBくらいで写真の作業を行うには問題ありません。
一方、派手な原色をたくさん使うイラストやCGを作る作業を行うなら、AdobeRGBをカバーしている機種を使うと彩度の高い部分なども最終出力と近い色で画面で確認できて便利です。
参考記事
専用キャリブレーション用ソフトは「ColorNavigator」
キャリブレーション用ソフトウェアは「ColorNavigator」を使います。
「ColorNavigator」を使うことで、ハードウェア・キャリブレーションができます。
ハードウェア・キャリブレーションは、パソコンから送られてくる映像の信号を変更せずに、ディスプレイの内部で白色点・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らさずに調整できるので画質が劣化しません。
「ColorNavigator」以外のキャリブレーション用ソフトは使えるのか
「ColorNavigator」以外のキャリブレーションソフトも使えます。例えば、x-rite®「カラーモンキー」やx-rite®「i1 Display Pro」の付属キャリブレーションソフトも使えます。
ただし、「ColorNavigator」以外のキャリブレーション用ソフトを使用した場合はソフトウェア・キャリブレーションを行うことになります。
ソフトウェア・キャリブレーションとは、パソコンから送り出される映像の信号自体の各成分を減らして白色点の色温度・ガンマ・輝度を調整する方法です。映像の信号を減らして調整するため、少し画質は劣化します。
測色器外付けのディスプレイ
「CS240」は測色器(キャリブレーションセンサー)は内蔵されていません。キャリブレーションするときに測色器を外付けして使用します。
どのような測色器が使えるのか
「CS240」のモデルによって、測色器(キャリブレーションセンサー)付属のものがあります。
付属の測色器以外の測色器でも、「ColorNavigator」に対応している測色器であればハードウェア・キャリブレーションができます。
「ColorNavigator™6」で使用可能な測色器の一例
以下は使用可能な測色器の一例です。
(EIZOのウェブサイト内の「ColorNavigator」の紹介ページに使用可能なキャリブレーションセンサーの一覧があります)
- i1 Pro
- i1 Pro2
- i1 Display Pro
- ColorMunki photo
- ColorMunki Design
- Spyder3
- Spyder4
- Spyder5
など。
ColorNavigator6のページ
その他の各種スペック
液晶表示モードの種類はIPS
IPSパネルは、液晶セルの液晶分子の配列方法で最も一般的なTNのパネルの視野角が狭いという欠点を解消した方式です。
現在カラーマネジメントディスプレイとして販売されているディスプレイはほとんどIPSパネルを使っているようです。
視野角(水平/垂直、標準値)178°/178°
液晶表示モードの種類はIPSであることで、視野角は広めの178°です。
作業に問題ありません。
輝度 350cd/m2
輝度は350cd/m2です。
普通のフォトレタッチの作業なら80〜120cd/m2くらいで行うことが多いと思いますので、350cd/m2まであれば何も問題ないと思います。
表示色
実際に表示する色数より多い情報を使って計算した後に表示を行っており、色再現・階調表現など写真の作業に十分で問題ありません。
応答速度 約12ms(黒→白→黒)、約7.7ms(中間階調域)
応答速度は約12ms(黒→白→黒)、約7.7ms(中間階調域、オーバードライブ「オン」時)ということで、写真など静止画の作業をする分には何も問題ありません。
ゲーム用のディスプレイなどは応答速度が速い必要があるので3msや1msなどの機種もあります。
そういったディスプレイは、応答速度が速い代わりに液晶表示モードの種類がTNなどであるため視野角が狭目で、画質もカラーマネジメント対応ディスプレイに比べると低いです。
表示モード sRGBモードあり、お好みの設定も記憶できる
表示モードにsRGBモードがあるので、ウェブ用画像をsRGBにして確認したりできます。
お好みの輝度・色温度なども記憶させておけるので、色温度・輝度とも低めの目にやしい設定を作っておいて、モード切り替えボタンで簡単に切り替えながら使えます。
スマホ等のデバイスのエミュレーションはできない
ColorNavigator6にはスマホなどのデバイスの表示をパソコン画面でエミュレーションする機能がありますが、CS240では使用できません。
結論 CS240は写真や彩度の高いイラスト・CGの作業に機能十分で価格が手頃
以上のように、EIZO「CS240」は写真の作業をするのに機能が十分で、結構高価なカラーマネジメント対応ディスプレイの中では比較的価格が手頃です。
以上、EIZO CS240はどういうディスプレイかおおまかにまとめてみました。
CS240
CS240は製造終了し、現在はCS2420-zという機種などが出ています。
販売終了参考記事
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