ディスプレイのキャリブレーションをするとき、キャリブレーション目標のガンマの数値を自分で決める必要があります。
ここではディスプレイのキャリブレーション目標のガンマの設定の例を紹介します。
ディスプレイの入力:出力が1:1になれば良い
CRTディスプレイに映像の信号を送ったら、送った映像より暗くなる
昔のブラウン管のCRTディスプレイに映像の信号を送ってみます。
送った映像がそのまま映ると思いきや、実際は送った映像よりかなり暗く映ってしまいます。
ディスプレイの入力:出力の関係が1:1にならないということです。
CRTの蛍光体の特性でそうなります。
暗く映らないように、映像の信号を明るく補正してから送ると良い
信号をそのまま送ると暗くなるので、わざと信号を明るく補正してからディスプレイに入力し、入力:出力が1:1の関係になるようにしてみます。
そうすると、ちょうど良い明るさで映ります。
CRTディスプレイの暗く映る度合い
CRTディスプレイが暗く映る度合いを数字で表してみます。
CRTの入力信号強度Iinと出力信号強度Ioutの関係を調べると以下のような関係があります。
Iout=Iinγ
CRTのγ(ガンマ)がだいたい2.2くらいです。
身の回りの機器やデータの多くはガンマ2.2のディスプレイに合わせてある
CRTディスプレイのガンマが2.2くらいなので、色々な機器やデータはガンマ2.2のディスプレイに合わせて作るようになりました。
カラープロファイルのsRGB、AdobeRGBなどもガンマ2.2で表示する前提になっています。
デジカメで写真を撮影すると、ガンマ2.2で表示した時にちょうどよく表示される前提でデータが出来上がります。
ディスプレイはガンマ2.2の特性になるように調整すれば都合が良い
ディスプレイのガンマは必ず2.2なわけではないが2.2くらいに調整してある
CRTディスプレイのガンマは完璧に2.2というわけではなく、ディスプレイによって違いがあります。
現在は液晶ディスプレイが主であり、液晶ディスプレイはCRTディスプレイと仕組みが全く違うので、ガンマも2.2とは全然違います。
しかしガンマがあまりにまちまちだと扱いにくいので、CRTでも液晶でもディスプレイはみなだいたいガンマ2.2くらいになるよう内部で調整されています。
さらに、ディスプレイのキャリブレーション作業ではディスプレイのガンマ特性を初期状態のままにせず希望のガンマ特性を示すように細かく調整できます。
身の回りの機器やデータに合わせてガンマ2.2にすれば良い
身の回りの機器やデータのほとんどがガンマ2.2のディスプレイとやりとりするのに都合が良いように作ってあります。
そこで、特別な事情がない限り、ディスプレイのガンマは2.2にするのが一番無難です。
カラーマネジメントの観点でもガンマ2.2で大丈夫
Photoshopなどカラーマネジメント対応のアプリケーションソフトで画像データなどを扱う場合は、ICCプロファイルを使ったカラーマネジメントシステムの仕組みを利用してデータを正確に表示します。
この場合、ディスプレイのガンマを2.2にしても1.8にしても表示は変わりません。よってガンマ2.2にしておけば通常は問題ありません。
カラーマネジメント対応でないソフトで表示したらどうなるか
カラーマネジメント対応でないソフトで画像データなどを表示した場合は、単純にディスプレイのガンマ特性で表示されます。
モニターのガンマが2.2ならガンマ2.2の特性で表示され、モニターのガンマが1.8ならガンマ1.8の特性で表示されます。
もしsRGBやAdobeRGB色空間で作成された画像データなら、ガンマ2.2で表示する前提のデータになっているので、ガンマ2.2ならちょうどよく表示されます。
よって、ガンマは2.2に調整しておくとほとんどの場合に都合がいいです。
以前、ガンマを2.2や1.8にしていた理由
ICCプロファイルを使ったカラーマネジメントシステムが普及する前はモニターのガンマをWindowsで2.2にしたりMacは1.8にしたりしていました。
カラーマネジメントシステムがない場合、モニターで表示した写真やグラフィックはモニターのガンマで表示されることになります。モニターでガンマ1.8くらいで表示すると手元の出力物と見た目が近くなるため、Macで印刷物のデータを作ったりするときにガンマ1.8にしていたらしいです。
ICCプロファイルを使ったカラーマネジメントシステムが普及した現在、Adobeのグラフィックソフトなどのカラーマネジメント対応ソフトで作業するならモニターをガンマ1.8にしたりする理由はなくなりました。
参考記事




