紙焼き写真やフィルムをスキャニングするとき、原稿の色を正確に取り込むにはスキャナーのプロファイルが必要です。
スキャナープロファイルを作成できるツールの例をみてみます。
スキャナープロファイルの役割
ディスプレイプロファイルの役割
液晶モニターには、たいていディスプレイプロファイルが付属しています。
OSの環境設定のディスプレイプロファイルの設定欄に、モニター付属のディスプレイプロファイルを設定します。
すると、ディスプレイプロファイルで補正されモニター表示が行われ、ある程度正確に表示されます。
しかし、1台ごとのモニターで多少は表示特性に差があったり、日数が経てば多少は表示特性が変化してきたりします。
そこで、モニターキャリブレーションを行って、ディスプレイプロファイルも作り直すことで、より正確なモニター表示を行えます。
スキャナープロファイルの役割
スキャナーにはたいていスキャナープロファイルが付属しています。
スキャナー付属のスキャナープロファイルで補正してスキャニングを行うことで、ある程度正確な色でスキャンができます。
しかし、1台ごとのスキャナーで多少は特性に差があったり、日数が経てば多少は特性が変化してきたりします。
そこで、自分でスキャナープロファイルを作成し、そのプロファイルで補正してスキャニングを行うことで、より正確なスキャニング作業ができます。
スキャナープロファイル作成ツールを使用すると、自分でスキャナープロファイルが作成できます。
スキャナープロファイル作成ツールの一例
LaserSoftImaging SilverFast Ai Studio
LaserSoftImagingのスキャナーソフト「SilverFast Ai Studio」にはスキャナープロファイル作成機能が付いています。
SilverFastはスキャナーソフトで、SilverFastが対応しているスキャナーであれば、スキャナー付属のスキャナーソフトではなくSilverFastを使ってスキャニングができます。
SilverFast Ai Studioに付いている「オートIT8キャリブレーション」という機能で、IT8カラーターゲットを使ってほとんど自動でスキャナープロファイル作成ができます。
IT8はカラーターゲットの規格のようなものの名前です。
SilverFast Ai Studioのスキャナープロファイルの注意点
SilverFast Ai Studioで作成するスキャナープロファイルはICCプロファイルです。
ところが、別のスキャナーソフトで色補正なしでスキャンした画像データに、画像編集ソフト上で手動でSilverFastで作成したスキャナープロファイルを指定する、というような操作をした場合、正常な結果が得られませんでした。
よって、SilverFastで作成したスキャナープロファイルはSilverFastでスキャンする時専用のプロファイルである可能性が高いです。
この辺りはかなりややこしいので詳しくはメーカーに確認して下さい。
参考記事
SilverFast Ai Studio
「SilverFast Ai Studio」はLaserSoftImagingのウェブサイトで購入できます。
LaserSoftImagingのウェブサイトはほぼ日本語に対応しています。
別途「IT8カラーターゲット」も必要
スキャナープロファイルを作るには、「SilverFast Ai Studio 8」の他に「IT8カラーターゲット」も必要です。
「IT8カラーターゲット」もLaserSoftImagingのウェブサイトで購入できます。
一般的な写真のスキャニング作業用なら、以下に示すカラーターゲットを使えば問題なくスキャナープロファイル作成ができます。
反射原稿用のスキャナープロファイルを作成したいなら、例えば以下のカラーターゲットがあれば作成できます。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ:キャリブレーションターゲットのみ(ソフトなし)
- 用途:リフレクティブフィルム用
- 大きさ:10×15 cm
透過原稿用のスキャナープロファイルを作成したいなら、例えば以下のカラーターゲットがあれば作成できます。
Advanced Targets (ISO 12641-2 compliant 2019) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ:キャリブレーションターゲットのみ(ソフトなし)
- 用途:トランスパレントフィルム用
- 大きさ:3-slide 35 mm
上記のカラーターゲットはあくまで一例です。
カラーターゲットはいくつもの種類、サイズが用意されているので、どのカラーターゲットを購入するべきかメーカーに聞くのも良いでしょう。
参考記事
Calibrite社 ColorChecker Studio
総合的なカラーマネジメントツールであるCalibrite「ColorChecker Studio」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「ColorChecker Studio」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
Calibrite社 ColorChecker StudioはX-Rite i1Studioの後継機です。
メーカーのページ
参考記事
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
ColorChecker Studioには24パッチのミニサイズのColorChecker Classic Miniが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できるものと思われます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
ColorChecker Studioは反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いColorChecker Digital SGをサポートしているとメーカーのページに書いてありました。
Calibrite ColorChecker Digital SG
メーカーのページ
X-Rite® i1Studio(販売終了)
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite「i1Studio」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Studio」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Studio
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
i1Studioにはミニカラーチェッカークラシックという24パッチのカラーターゲットが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いものの例として以下の製品があります。
ColorCheckerSG
X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行し、現在はCalibrite社からColorChecker Digital SGが発売されています。
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
i1StudioはLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応しています。
例えば反射原稿用のスキャナープロファイル作成なら、LaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えます。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ:キャリブレーションターゲットのみ(ソフトなし)
- 用途:リフレクティブフィルム用
- 大きさ:10×15 cm
X-Rite® i1Photo Pro3
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite「i1Photo Pro3」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Photo Pro3」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Photo Pro3
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
i1Photo Pro3にはカラーチェッカークラシック ミニという24パッチのカラーターゲットが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いものの例として以下の製品があります。
ColorCheckerSG
X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行し、現在はCalibrite社からColorChecker Digital SGが発売されています。
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
i1Photo Pro2のソフト「i1Profiler」はLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応しています。
例えば反射原稿用のスキャナープロファイル作成なら、LaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えます。
i1Photo Pro3も同じソフト「i1Profiler」を使用するので、おそらくi1Photo Pro3もi1Photo Pro2と同じように以下のカラーターゲットが使用できる可能性が高いです。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ:キャリブレーションターゲットのみ(ソフトなし)
- 用途:リフレクティブフィルム用
- 大きさ:10×15 cm
X-Rite® i1Photo Pro2
総合的なカラーマネジメントツールであるX-Rite「i1Photo Pro2」にはスキャナープロファイル作成機能も含まれます。
「i1Photo Pro2」は総合的なカラーマネジメントツールなので、スキャナープロファイル作成の他、モニターキャリブレーション、プリンタープロファイル作成、プロジェクターのプロファイル作成、などもできます。
参考記事
X-Rite i1Photo Pro2
精度を上げるには、別途カラーターゲットが必要
i1Photo Pro2にはカラーチェッカークラシック ミニという24パッチのカラーターゲットが付いており、このカラーターゲットを使ってスキャナープロファイルが作成できます。
ただ、私の経験上、24パッチのカラーターゲットでスキャナープロファイルを作成しても精度が低く、あまり実用的なスキャナープロファイルになりません。
より精度の高いスキャナープロファイルを作るためには、パッチ数の多いカラーターゲットが必要です。
反射原稿用のカラーターゲットでパッチ数の多いものの例として以下の製品があります。
ColorCheckerSG
X-Rite社の写真・映像向け製品の販売がCalibrite社へ移行し、現在はCalibrite社からColorChecker Digital SGが発売されています。
メーカーのページ
LaserSoftImagingのカラーターゲット
i1Photo Pro2はLaserSoftImagingのカラーターゲットにも対応しています。
例えば反射原稿用のスキャナープロファイル作成なら、LaserSoftImagingの以下のカラーターゲットが使えます。
Standard IT8 Targets (ISO 12641-1 compliant 1997) for Scanner Color Calibration
- ターゲットタイプ:キャリブレーションターゲットのみ(ソフトなし)
- 用途:リフレクティブフィルム用
- 大きさ:10×15 cm
以上、スキャナープロファイルを作成できるツールの例をみてみました。
参考記事