写真や色校などは、明るい部屋で見れば明るく、暗い部屋で見れば暗く見えます。
モニターとプリンターのカラーマッチングなどを考えるとき、プリンター出力物を見る部屋はどのくらいの明るさが良いのか迷います。
ここでは、プリント写真などを見るときの部屋の明るさについて考えてみます。
色が重要なものを見るときの明るさの基準や規格
明るさに関する基準は色々あってはっきりしない
例えば光源の色については、D65やD50など広く使われている無難な基準があります。
一方、明るさに関しては基準がいろいろあったり、大まかだったりして、はっきりしません。
明るさに関する規格の例
明るさに関する規格の例をあげてみます。
日本印刷学会推奨規格
日本印刷学会推奨規格では、反射原稿等を観察するときの観察ブースの照度を以下のように規定しています。
- 2000±500[lx]
詳しくは日本印刷学会のサイトなどをご参照ください
ISO
ISOでも、反射原稿の色評価用の照明の照度を以下のように規定しています。
- 2000±500[lx]
詳しくはISO 3664 などを入手して下さい
JIS照度基準
JIS照度基準には色々な用途の照度が載っていますが、写真や色校を見るときに適用できそうなものとしては以下のような基準が載っています。
- 精密機械、電子部品の製造、印刷工場での極めて細かい視作業
1500[lx] (注記 色が重要な場合はRa90以上、超精密な視作業の場合には2000[lx]) - 繊維工場での選別、検査、印刷工場での植字、校正、化学工場での分析などの細かい視作業
750[lx] (注記 色が重要な場合はRa90以上、精密な視作業の場合には1000[lx]) - 一般の製造工場などでの普通の視作業
500[lx] (注記 色が重要な場合はRa90以上)
写真などの反射原稿を見るときの明るさ 具体例
色校と原稿の比較など色にシビアなものを比較するなら2000lx
上記の基準のうち、日本印刷学会推奨規格やISOの2000[lx]という明るさは、例えば色に厳しい色校と原稿など二つの色を比較したりするときにふさわしい明るさです。
原稿と色校正などのわずかな色の差を確認する場合なら、2000[lx]くらいの明るい場所で見る必要がある、ということです。
確かに、暗いと微妙な色の差は判断しにくいです。
印刷業界などでカラーマネジメントの仕組みに則って業務を行い、反射原稿の色と色校正の色を正確に比較するようなときは2000[lx]で見ることになります。
写真のプリンター出力とモニター表示を比較するなら500[lx]くらいが良いのではないか
2000[lx]はかなり明るいです。
普通の事務所や家の照明をつけた部屋で2000[lx]になっている場所はおそらくあまりありません。(窓から外の光が入っていれば2000[lx]以上になることもあります)
デパートなどでかなり明るい売り場なら2000[lx]の場所はたぶんあります。
室内で写真をみるときに2000[lx]の明るさで見るということはおそらくあまりありません。
モニターと出力物を同時に見ながら作業する場合に適切な明るさとして、日本印刷技術協会が以下のような環境を奨めています。
日本印刷技術協会「【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[色]2-2 色」
https://www.jagat.or.jp/cat5/dtp/exam/curriculum/color
当ブログ運営者の私の業務経験でも、写真や商品を見る明るさを500lx前後にすると、取引先の環境と近くなるケースが多いです。
以上のようなことから、プリントした写真とモニター表示を比較したりするような作業では、照度500[lx]前後でプリンター出力を見るのが無難ではないかと思います。
以上、プリント写真などを見るときの部屋の明るさについて考えてみました。
参考記事